本記事はそんな疑問に答える内容です。
筆者は5年以上技工用のCAD/CAMソフトウェアーや3Dプリンターを仕事で活用してきたので、今まで使ってみた感想や、メリット・デメリットなど述べていきたいと思います。
ただし、すべてのCAD/CAMや3Dプリンターを使用したデータではないので、あくまで個人の感想として参考にしていただけたらと思います。
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【歯科業界のデジタル活用】筆者が歯科技工でデジタルを活用してきた感想を紹介!【CAD/CAM 筆者のレビュー】
CAD/CAMソフトを使って補綴物を削り出した時の精度や個人的な感想を述べていきます。
ジルコニア
2010年頃、3本ブリッジの症例でジルコニアブロックを削り出して石膏模型に適合させようとすると、全く模型におさまらずに30分ぐらいコーピングの内面を削って適合させないとなかなか良いフィットは得られない・・・といった記憶があります。
しかし、2022年現在ではブリッジのケースでもほぼストレスなく適合させることができて、倍率が8倍のマイクロスコープでフィニッシュラインを確認しても問題ない適合が得られます
単冠レベルなら内面の調整が必要ない場合も多いです。
ブロックの種類も、透明度の高いものから高強度なものまで、各社様々な種類のラインナップをそろえているのでほとんどのケースに使えるようになってきています。
二ケイ酸リチウムガラスセラミックス(e-maxなど)
e-maxは僕の場合は使い分けていて、CAD/CAMで作る場合とプレスを利用する場合があります。
- e-maxプレス
e-maxプレスで制作しているケースはクラウンやベニアの場合です。というのは、前歯の場合は形態が重要だからです。
きちんと診断用ワックスアップした形態を再現するためにはe-maxプレスを選択します。
なぜなら、e-maxプレスはワックスアップで煮詰めた形態をセラミックに置き換えたときほぼそのまま再現してくれるからです。
それから、ラミネートベニアは厚みが薄くなるケースがほとんどで、CAD/CAMで削り出して作る時に辺縁がチッピングしてしまう場合があるので僕の場合はプレスで行います。
- e-maxCAD
反対にe-maxCADは煮詰めた形態を7割ぐらいは再現してくれますが、残りの3割を補うために、結局削り出してから形態修正をするために時間がかかるといった感じです。
ただ、e-maxインレーはCADの方が抜群にいい感じです。
なぜならフィットもいいですし、プレスの場合と違ってワックスアップもしなくてもいい。さらに、プレスをする手間もないので作業時間も大幅に短縮できます。
e-maxインレーのケースはトータルでみてCAD/CAMを選択するのがベストです。
PMMA
PMMA のディスクを削り出して作ったクラウンは即時重合レジンと比べて内部構造がとても密になっているので研磨した時の表面の感じが全く違います。
ただ、ジルコニアやe-maxと比べて適合精度が悪いので僕の場合PMMAディスクを利用する時はスペーサーを多めにしていつも使っています。
そして厚みが薄いケースの場合は特にフィットが悪くて、ラミネートベニアのような厚みの薄いケースをPMMA のディスクで削り出して作ると適合が悪い上に形態の再現性がないので僕の場合はラミネートべニアのプロビジョナルを作る時は即時重合レジンで作っています。
【歯科業界のデジタル活用】3Dプリンター 歯科技工士(筆者)のレビュー
口腔内スキャナーの日本での普及率はまだまだですが、もうすでに使っているドクターにとっては模型の精度がどのぐらいのものなのか気になるところですよね。
以下で筆者の感想を述べます。
クラウン・ブリッジの支台歯模型
3Dプリンターで製作するクラウンブリッジの支台歯模型は、石膏模型と比較してまだまだ精度が悪いと感じます。
なぜかというと、まず支台歯形成したマージンラインというのは通常しっかりとしたエッジが出ていることはご存知だと思います。
そして石膏模型でも支台歯形成したマージンをマイクロで拡大してみるとはっきりとエッジが出ています。
しかし3Dプリンターで製作した支台歯模型はマージンが不鮮明でエッチが丸くなった模型が出来上がります。
はっきり言ってどこがフィニッシュラインなのかわからないといった状況。
以前、クラウンブリッジの支台歯模型を3Dプリンターで製作してからジルコニアクラウンを作って患者にセットした時に、案の定マージンが合ってなくてドクターからクレームが来たことがあります。
このケースに関してはそもそも口腔内スキャナー&3Dプリンターで製作すべき症例ではなかったと感じます。
今の状況ではクラウンブリッジの支台歯模型は3D プリンターより石膏模型で作るほうがいいと思います。
インプラント模型
3Dプリンターを使ったインプラント模型に関しては、現在のところ石膏模型と同等のレベルにあると思います。
同等のレベルとはどういう意味かと言うと、患者さんの口腔内で補綴物を試適をしてみると、
「石膏のインプラント模型」であっても「3Dプリンターのインプラント模型」あっても多少の誤差が生じます。
感覚的に言うと、50ミクロンから100ミクロンの調整が必要な感じです。
もちろんジャストで行ける場合もありますし150ミクロンぐらいの大きい誤差が生じる場合もあります。その誤差は口腔内試適で補正します。
結論としては、石膏でも3 D プリンターでもインプラント模型に関してはどちらでも口腔内試適で誤差を修正すれば問題の無いレベルにあるといった感じです。
歯科業界に対するデジタル活用って、日本での「口腔内スキャナー」の普及率は5%ほどと言われてるしまだまだアナログが主流なのかな~。
技工士さんはジルコニアを製作する時に活用してるイメージだけど、それ以外ってどんな感じなの?そのあたりコミュニケーションできたらな~・・・。